48.1円の補助金が続けば予算が底を突く時期が6月上旬へと1か月早まる計算に
政府は26日から石油備蓄(国家備蓄)の放出を始める。ガソリン価格などは、精製の原価となる輸入原油価格に物流費、利益などを積み上げて決定される傾向が強い。この点から、政府が石油備蓄を放出しても、ガソリンなど燃料の需給が緩和されて価格が下がることには通常はならない。しかし今回については、ガソリン価格に影響を与える可能性がある。
毎週水曜日に、大手の石油元売り業者は、海外の原油価格と為替レートを踏まえて、向こう1週間のガソリンスタンドなどへの卸価格を決定する。政府は25日(水)、向こう1週間のガソリン小売価格が1リットル218.1円になると見込み、それと170円との差額であるリットル当たり48.1円の補助を決めた。1週間前に決めた30.2円から18円もの大幅増加となった。25日に大手元売り業者は、同額程度の卸価格引き上げを決めたとみられる。
政府はガソリン補助金の予算を1兆800億円程度確保している。前週の1リットル約30円の補助金が続く場合、予算が底を突くのは7月上旬(7月4日頃)と計算された(コラム「ガソリン補助金の予算を8,000億円追加へ:予算枯渇のシミュレーション」、2026年3月23日)。
しかし48.1円の補助金が今後も続く場合には、1日当たりの補助金額は約100億円から約136億円へと膨らみ、予算が底を突くのは6月上旬(6月8日頃)へと1か月早くなる計算だ。
毎週水曜日に、大手の石油元売り業者は、海外の原油価格と為替レートを踏まえて、向こう1週間のガソリンスタンドなどへの卸価格を決定する。政府は25日(水)、向こう1週間のガソリン小売価格が1リットル218.1円になると見込み、それと170円との差額であるリットル当たり48.1円の補助を決めた。1週間前に決めた30.2円から18円もの大幅増加となった。25日に大手元売り業者は、同額程度の卸価格引き上げを決めたとみられる。
政府はガソリン補助金の予算を1兆800億円程度確保している。前週の1リットル約30円の補助金が続く場合、予算が底を突くのは7月上旬(7月4日頃)と計算された(コラム「ガソリン補助金の予算を8,000億円追加へ:予算枯渇のシミュレーション」、2026年3月23日)。
しかし48.1円の補助金が今後も続く場合には、1日当たりの補助金額は約100億円から約136億円へと膨らみ、予算が底を突くのは6月上旬(6月8日頃)へと1か月早くなる計算だ。
政府は前月の安い価格で石油備蓄を放出
今回政府が随意契約で大手石油会社に石油備蓄を販売する際の価格は、前月の産油国での公式平均価格になると考えられる。それはイラン紛争が生じる前の原油価格であることから、価格は現在と比べてかなり安い。それを原価として大手の石油元売り業者がガソリンの卸価格を設定するならば、それは現在の価格よりもかなり安くなるはずであり、その分、ガソリンの小売価格の平均を1リットル当たり170円に抑える政府の補助金の額は、再び縮小することが見込まれる。
しかし、それは3月26日に放出する政府の石油備蓄についてであり、政府が4月あるいは5月に再び石油備蓄を放出する際には、その価格はイラン紛争後に価格が上がった3月、4月分であるため、政府の補助金額は再び膨らむ。
ガソリン補助金制度のもとでは、当面、消費者がガソリン価格を平均170円程度で購入できる可能性は高いが、政府の補助金額がどの程度膨らみ、予算がいつ枯渇するかは、海外での原油価格と複雑な大手の石油元売り業者の価格設定によって大きく左右される。
しかし、それは3月26日に放出する政府の石油備蓄についてであり、政府が4月あるいは5月に再び石油備蓄を放出する際には、その価格はイラン紛争後に価格が上がった3月、4月分であるため、政府の補助金額は再び膨らむ。
ガソリン補助金制度のもとでは、当面、消費者がガソリン価格を平均170円程度で購入できる可能性は高いが、政府の補助金額がどの程度膨らみ、予算がいつ枯渇するかは、海外での原油価格と複雑な大手の石油元売り業者の価格設定によって大きく左右される。
補助金制度を長期間続けることの課題
現在の補助金制度を長期間続けることは問題だ。第1の問題は財政を圧迫することであり、それが金融市場の財政悪化懸念を高めれば、円安が進み、燃料を含む価格の上昇が引き起こされる。
第2の問題は、化石燃料消費の効率化と脱炭素の取り組みに水を差してしまうことだ。中東情勢の緊迫化と原油価格高騰が続く中、企業や国民は、燃料や電気の消費を抑制、節約するような行動変容が求められている。しかし、補助金によってガソリン価格が比較的低位に抑えられれば、ガソリン車の利用は減らず、またEV車への切り替えなども進まなくなる。これは、化石燃料消費の効率化と脱炭素の取り組みの妨げとなってしまう(コラム「原油供給危機下のエネルギー効率向上と脱炭素の取り組み」、2026年3月26日)。
このような点を踏まえると、ガソリン補助金の予算が底を突く前に、政府が補助金を縮小する方向で見直しが図られる可能性も考えておくべきだろう。
第2の問題は、化石燃料消費の効率化と脱炭素の取り組みに水を差してしまうことだ。中東情勢の緊迫化と原油価格高騰が続く中、企業や国民は、燃料や電気の消費を抑制、節約するような行動変容が求められている。しかし、補助金によってガソリン価格が比較的低位に抑えられれば、ガソリン車の利用は減らず、またEV車への切り替えなども進まなくなる。これは、化石燃料消費の効率化と脱炭素の取り組みの妨げとなってしまう(コラム「原油供給危機下のエネルギー効率向上と脱炭素の取り組み」、2026年3月26日)。
このような点を踏まえると、ガソリン補助金の予算が底を突く前に、政府が補助金を縮小する方向で見直しが図られる可能性も考えておくべきだろう。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。