政府は27日に、2026年度暫定予算案を閣議決定した。暫定予算の編成は、2026年度予算が年度内に成立せずに予算の執行が止まってしまう事態を避けるための措置だ。暫定予算案の編成は2015年以来11年ぶりとなる。
高市首相が1月の通常国会冒頭の衆院解散・総選挙に踏み切ったため、予算案の審議入りが1か月程度ずれ込んだ。年度内の予算成立を目指す高市政権のもと、与党が議席の4分の3を超す衆院では迅速に審議が進められ、2026年度予算案は3月13日に衆院を通過して参院に送付された。衆院での審議時間は59時間ほどと過去20年間で最短となった。
しかし、与党が過半数の議席を持たない参院での審議時間を通常よりも大幅に短縮することは野党の反対で難しく、年度内の予算成立はかなり難しい状況だ。
衆院の優越を定めた憲法の規定によって、予算案が参院で可決されない場合でも衆院での可決から30日後の4月11日には予算は自然成立する。そのため暫定予算は4月1日から11日までの11日分が編成される。与野党は暫定予算を30日に成立させる方針で既に合意している。
暫定予算は「行政の空白を防ぐ」ことが目的であるため、新しい政策や事業は盛り込まれないのが通例である。暫定予算に含まれる項目は、主に以下の4点に限定される(コラム「特別国会で年度内予算成立は可能か」、2026年2月18日)。
1)経常的経費:人件費、事務費など、政府機関の通常運営に必要な費用
2)継続事業費:既に進行中の公共事業や契約に関する支出
3)最低限の社会保障費:年金、医療、福祉など国民生活に不可欠な支出
4)国債費:国債の利払いなど、債務履行に関する費用
今回の暫定予算は、一般会計の歳出(支出)で計8兆5,641億円である。2026年度予算案の一般会計総額122兆3,092億円の11日分は、単純計算では3.7兆円となるが、それよりも2倍以上の規模となった。これは、月初に集中して支払う必要がある経費が多いためと考えられる。
内訳は、地方交付税交付金が5兆1,028億円、社会保障関係費は2兆7,565億円、予備費約300億円などだ。
さらに、高校無償化477 億円、小学校給食無償化の経費に149億円が充てられた。高校無償化、小学校給食無償化など新規の政策は、通常では暫定予算に組み入れられないが、物価高が続く中、国民生活に配慮して例外的に野党もそれを認める方向だ。
暫定予算が成立すれば、予算成立の遅れに伴う経済活動への悪影響への懸念が緩和される。
(参考資料)
「11日間の暫定予算案8.6兆円を閣議決定 当初予算の月内成立は困難」、2026年3月27日、日本経済新聞電子版
「暫定予算案、8兆5641億円―高校無償化、年金など11日分」、2026年3月27日、共同通信ニュース
高市首相が1月の通常国会冒頭の衆院解散・総選挙に踏み切ったため、予算案の審議入りが1か月程度ずれ込んだ。年度内の予算成立を目指す高市政権のもと、与党が議席の4分の3を超す衆院では迅速に審議が進められ、2026年度予算案は3月13日に衆院を通過して参院に送付された。衆院での審議時間は59時間ほどと過去20年間で最短となった。
しかし、与党が過半数の議席を持たない参院での審議時間を通常よりも大幅に短縮することは野党の反対で難しく、年度内の予算成立はかなり難しい状況だ。
衆院の優越を定めた憲法の規定によって、予算案が参院で可決されない場合でも衆院での可決から30日後の4月11日には予算は自然成立する。そのため暫定予算は4月1日から11日までの11日分が編成される。与野党は暫定予算を30日に成立させる方針で既に合意している。
暫定予算は「行政の空白を防ぐ」ことが目的であるため、新しい政策や事業は盛り込まれないのが通例である。暫定予算に含まれる項目は、主に以下の4点に限定される(コラム「特別国会で年度内予算成立は可能か」、2026年2月18日)。
1)経常的経費:人件費、事務費など、政府機関の通常運営に必要な費用
2)継続事業費:既に進行中の公共事業や契約に関する支出
3)最低限の社会保障費:年金、医療、福祉など国民生活に不可欠な支出
4)国債費:国債の利払いなど、債務履行に関する費用
今回の暫定予算は、一般会計の歳出(支出)で計8兆5,641億円である。2026年度予算案の一般会計総額122兆3,092億円の11日分は、単純計算では3.7兆円となるが、それよりも2倍以上の規模となった。これは、月初に集中して支払う必要がある経費が多いためと考えられる。
内訳は、地方交付税交付金が5兆1,028億円、社会保障関係費は2兆7,565億円、予備費約300億円などだ。
さらに、高校無償化477 億円、小学校給食無償化の経費に149億円が充てられた。高校無償化、小学校給食無償化など新規の政策は、通常では暫定予算に組み入れられないが、物価高が続く中、国民生活に配慮して例外的に野党もそれを認める方向だ。
暫定予算が成立すれば、予算成立の遅れに伴う経済活動への悪影響への懸念が緩和される。
(参考資料)
「11日間の暫定予算案8.6兆円を閣議決定 当初予算の月内成立は困難」、2026年3月27日、日本経済新聞電子版
「暫定予算案、8兆5641億円―高校無償化、年金など11日分」、2026年3月27日、共同通信ニュース
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。